ナショナル国民受信機 新Z-2
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ナショナルが独自に国民受信機と命名したZシリーズで、並四のZ-2型のマイナーチェンジ?版です。
Z-2とはデザインが異なります。入手時の回路は、こちらです(PDFファイル,2011/2/20修正)。
回路を見ると、低周波トランスの1次側を出力管のバイアス抵抗に接続しています。
これについては、日本ラジオ博物館の岡部氏よりオリジナル回路図を教えていただくことができ、
昔の修理時のミスであることが分かりました。修復回路は、こちらです。
トランスの1次側は低周波段26Bのカソードバイアスに接続し、1μFは出力段12Aのカソードバイアスに
接続します。このように接続することで26Bのカソードに現れる交流分が抑圧されるため、
パスコンを省略することができコストダウンが可能となります。当時、大容量のペーパーコンは高価でした。
このラジオは、アンテナコイルと電源用ペーパーコンが交換されています。
また、保管状態が悪く、ケースの痛みがかなりあります。電源チョークは断線していました。
電源トランスはオリジナルかどうか不明なところがありますが、交換されたものと思われます。
昭和13年頃発売
入手時:UY-56(マツダ), UX-26B(マツダ), UX-12A(不明),KX-12F(マツダ)
(2007年12月入手)
裏蓋を外したところ。ヒューズカバーがありません。真空管は全てOKでした。
シャーシを取り出したところ。内部は酷い埃です。スピーカは断線していませんでした。
経験的にナショナルのマグネチックは断線が少ないような気がします。
中央の電源チョークは断線しています。電源用ペーパーコンは戦後の小型ブロックコンに
交換されています。250V/4uF×2, 1uF×3なのですが、B電圧が220Vあるので定格ぎりぎりで
使用していたことになります。
パイロットランプは6.3V用が付いています。これは2.5V用に戻すことにします。
シャーシ裏側です。コンデンサ類は全滅です。抵抗は抵抗値が+10〜+20%なので
そのまま使用できました。1:3トランスも無事でした。
電源トランスはTYPE PT-2ですが、オリジナルは取付ネジが2本のはずなので、
ひょっとするとトランスも交換した可能性も考えられます。
しかし、フィラメント配線等を見るとオリジナルのようにも見えるので
カバーが異なるのかもしれません。PT-2はカバーの刻印ではB電圧が180Vですが、
実測220Vになっていることからも、カバーが違うこともあり得ます。
いずれにせよ、カバーの取付穴がコアと一致していないので、カバーか中身かどちらかが
オリジナルではないことになります。
戦後に取り付けられたケミコン。250V/4uF×2, 1uF×3の5個が入っています。
大きさはオリジナルの1/4〜1/6程度の大きさでしょうか。チェックはしていませんが、
ピッチが漏れているので使用不可でしょう。
アンテナ/再生コイルです。外側がアンテナ、内側が再生コイルの2重構造になっています。
オリジナルはアンテナの1次側がハニカム巻きの高インピーダンスタイプなので、
後で低インピーダンス入力タイプに交換されたものです(緑色の巻線、写真の都合でモアレになっています)。
修復後のシャーシ内部です。電源トランス関係の配線以外は全て再配線しました。
線材は使えるものは再利用します。ACコードは綿タイプのものに交換しました。
電源用コンデンサは個別に電解コンを4個ラグ端子に取り付けています(写真では見にくい)。
AC1次側にノイズ防止を兼ねてコンデンサを入れるのが普通ですが、オリジナルのままとしました。
よって、感度が良くないはずですが、2mのアンテナで十分過ぎる音量で鳴ってくれます。
マグネチックスピーカを仮接続して、動作チェックをしているところ。
電源チョークは内田ラジオで調達した30Hです。角形ペーパーコンがないのですっきりしています。
側板が外れた木箱のケース。
木工ボンドで修復します。ハタガネの手持ちが2本しかなかったので紐で縛って仮固定しています。
最終組立したもの。やはりヒューズがむき出しでは危険です。
再生調整ツマミには、“TICKLER”の表記が。豆コンによる再生調整ですが、機能が同じなので
使用したのでしょう。
ラジオ工房掲示板で、負帰還か正帰還かという話になり、テスト信号(周波数1MHz, 変調400Hz)を
入力して低周波回路の電圧を測定してみました。26Bの入力が0.2Vpp、12Aの出力で6Vppでした。
信号は歪んでいるので電圧は参考値です。低周波部利得約30dBとなりました。
トランスの入出力は同位相であり、負帰還であることが分かりました。トランスの出力を反転
すると発振してしまいます。
【2011年2月20日追記】
岡部氏よりいただいたオリジナル回路を元に修正した回路で再度ゲインを測定しました。
PU端子から1kHzの低周波信号を入力し、オシロでpp電圧を測定したものです。
26Bの入力を0.1Vppとしたとき、12Aの出力で20Vppでした。12Aのパスコンにより
出力段のゲインが増加したため低周波部利得は16dB増加し約46dBとなりました。
26Bと12Aのカソード配線を修正しました。
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