Universal Crossing Counter SS-868EX2

三生電子(株)の業務用周波数カウンターSS-868EX2なるものを入手しました。
おそらく何かの製造ラインに組み込んで使用する計測器と思われます。
実用性はないのですが、8桁のニキシー管表示につられて落札したものです。
三生電子は現存する水晶デバイス用計測器メーカーのようなので、水晶発振器
の周波数調整用の装置かもしれません。
念のためメーカーに問い合わせてみましたが、1975年製造ということで
残念ながら資料等は入手できませんでした。独自で調査するしかないようです。

幅415×奥行360×高さ150、重さ約9.5kg という大きさです。
普段使うような大きさではありませんね。

(2026年5月入手)


電源スイッチは、レバーが破損していたので取り外しています。
8桁のサムロータリースイッチがあり、カウンターモードで用途を切替える
のではと思いますが、動作させてみないとわかりません。
ゲートタイムと周期の切替は、通常の周波数カウンターと同じですね。
リセットスイッチは何に使うのか、サムロータリースイッチと関係がありそうです。


ラジケータを見ながら入力感度を切替えるようです。
右側プラグインユニット「FREQUENCY MULTIPLIER」は、何でしょうか?
直訳すると周波数乗算器/逓倍器ですが、入力信号とスイッチで設定した
基準周波数とを掛け算して測定するのでしょうか?何のため?
入力感度スイッチに「PLUG IN」レンジがありますので、ここに設定して
使うのだろうと予想はできます。


リアパネルです。
ここで注意ラベルを読んで、ショックを受けました!
「この機器には標準発振器が内蔵されていません。
 裏面のEXT-INTスイッチをEXT側にしてEXT 1MHz INに外部標準を
 接続して使用して下さい。」
何と標準発振器が入っていないモデルでした。どうりで安かったはずです。
入札時によく見ておくべきでした。
計測器の標準発振器は10MHzが多いのですが、当時は1MHzだったようです。
仕方がないので、適当な発振器を組み込むことにします。


定格銘板です。1975年11製造となっています。


内部はこんな感じ。産業用だけあって、1桁ごとにカードが並べられています。
右上に見える8ピンのUSソケットが、標準発振器のソケットのようです。
確かに入っていません!


先ずは、壊れている電源スイッチの交換です。
日開のロッカースイッチPW-2022が付いていますが、パドルが折れています。
PW-2022==>M-2022J==>M-N22S1Jと後継機種が変わっていますが、
M-2022Jが入手できました。
但し、取付寸法が大きくなっていますので、パネルの穴を広げないとダメでした。
無事に電源が入って、外部基準信号で表示できることは確認できましたので、
標準発振器を準備します。


ヤフオクで中古のOCXOを調達しました。
トヨコム製ですが、アンリツの計測器に使われていたものです。
2階建て基板の1階にUSプラグを、2階にOCXOを取り付けました。
周波数が10MHzのため、1階に1/10分周器74HC390Aを追加しています。
電源はOCXO用に+12V、分周器用に+5Vが必要となります。
本当は三端子で+12Vから+5Vを作る方がよいのですが、一先ずこのままで。


発振器単体での動作確認です。上が10MHz、下が1/10分周した1MHzです。
うまく動作しているようです。
なお、このOCXOは、GPSで校正した周波数カウンターで周波数調整しています。




USソケット部の回路を調べると、EXT/INT切替スイッチを経由して、
発振器の電源ON/OFFと標準信号源の切替を行っていました。
電源は非安定の約+25Vがきており、ダイオード4本で+22V程度に落としている
ようです。このままでは使えませんので、別に+12Vと+5Vを持ってきます。


その前に、このスライドスイッチが接触不良でした。長い間EXTにしていたので
INT側のスイッチが酸化していたようです。分解清掃でOKとなりました。


本体基板から電源を持ってきました。+12Vは最大0.3A程度流れますので、
事前に、電流を増加しても大丈夫か確認しておきます。


製作した標準発振器を取り付けました。なかなかいい感じです。
これで動作準備完了です。


カウンターモードを「N」にして、手持ちのSGから5MHzを入力しました。
SGは校正されていませんので、4,999,906Hzと90Hzほど周波数が
低いようですが、正常に計測できています。「N」=「Normal」のようです。


カウンターモードを「S」にすると、サムロータリースイッチの設定値を
表示します。写真は、設定値を5,000,000Hzにしたところです。
「S」=「Set」と思われます。


ここでRESETボタンを押すと、表示がゼロにリセットされます。
カウンターがリセットされるのでしょう。


次にカウンターモードを「D」にすると、91(-)Hzとなりました。
これはSGからの入力信号周波数と設定周波数の差を表示しています。
SG =4,999,909Hz(SGの出力信号は数10Hzふらついている。)
設定=5,000,000Hz


逆にSGの周波数を200Hz高くしてやると、105(+)Hzとなります。
SG =5,000,105Hz(SGの出力信号は数10Hzふらついている。)
設定=5,000,000Hz
なるほど。サムロータリースイッチとの差分を符号付きで表示するようです。
「D」=「Difference」と思われます。


カウンターモードをNにして、測定モードをCHECKにすると、
内部標準周波数1MHzを表示しました。自分で自分の基準を測っているので、
常に1,000,000Hzピッタリになるのは当たり前です。


測定モードをPERIOD(周期)にしました。
単位は[mS]なので、0.000200mS=200nSとなりました。最小桁は誤差のため
0と1で変動します。


この状態でカウンターモードを差分Dにすると、5mSとの差分として
4.999800(-)mSとなります。

基本的な周波数/周期測定は、以上のような動作をすることがわかりました。
目標値(仕様)をサムロータリースイッチで設定し、それとの差を表示し
被測定機器の調整を追い込んでいくようです。
後は、周波数乗算器/逓倍器の調査が残っていますが、時間のあるときに・・・


2026年8月23日


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