【三和無線測器研究所の真空管試験器SEM-14】
 
ラジオ屋さんが使うエミ減チェック用の簡易試験器(2005年7月入手)。
メーカは現存せず、当時のメーカであったところに問い合わせしましたが、
資料等が無く詳細な仕様は不明でした。
しかし、ラジオ工房掲示板が縁で馬場さんより取り説を提供していただきました。
本当にありがとうございました。
メータのガラスが外れている以外は、正常に動作するようです。
内尾さんのラジオ工房、馬場さんの取り説に回路図がありましたので、現物と見比べながら
使用方法を整理してみました。
回路図に定数を記入しましたが、半固定VRは固定抵抗の組合せになっています。 (全体回路図)
また、回路図では、メータ回路部分が省略されています。実際には、亜酸化銅整流器で直流にし、
1.5kで分流されています。
水魚堂の回路図エディターBSch3Vで書いてみました。非常に使いやすいです。(メータ部回路図)


左上の青いものが亜酸化銅整流器、ラグ端子で抵抗を追加

注)三和無線測器研究所;昭和16年に設立された三和電気計器製作所が、昭和25年に小型携帯用テスタを
担当する三和電気製作所、中・大型テスタを担当する三和電気計器製作所、無線測定器を担当する
三和無線測器研究所に分離され、昭和28年にテスタの販売を統合した三和電気計器株式会社が設立された。



SW1(ADJ.LINE):ACライン電圧調整


SW2(Eh):ヒーター(フィランメント)電圧切換


SW3:電極接続切換


■真空管を挿入する前にSW1をOFFに設定する。

■適合するソケットに真空管を挿入する。
オクタル管は、ヒーターの接続が2種類(2,7ピンと7,8ピン)ある。
MT管は、MT-1:6AQ5タイプ、MT-2:その他交流管、MT-3:直流(電池)管の3種類ある。
 (1.1V〜110V)過電圧に十分注意のこと!!
 

■SW3をADJ LINEに設定し、メータがセンターのLINE ADJUSTに合うように
SW1を切り換えてAC電圧を調整する。


■SW3を所定の位置に設定する。
@ショート(短絡)試験
 各電極間がリークしていないか試験する。試験電圧はAC25Vで、RCを経由して電圧を印可している。
 判定はメータが振れないこと。
・"1":ヒーターと他の電極
・"2":ヒーター, Kと他の電極
・"3":ヒーター, K, Aと他の電極
・"4":ヒーター, K, A, Bと他の電極
・"5":ヒーター, K, A, B, Cと他の電極
・"6":ヒーター, K, A, B, C, DとE(and Cap G)電極

Aエミッション試験
 カソード(フィラメント)からのエミッションを試験する。供給電圧はAC25Vだが、エミッション電流により
 電極間電圧は低下する。
・直熱管の場合は"F"に設定。フィラメント以外の電極は全て短絡されアノードとなる。
・傍熱管の場合は"K-1"に設定。カソード以外の電極は全て短絡されアノードとなる。
・傍熱管で双極管(複合管)の場合は"K-2";但し、内部でK,A端子がカソード接続となるので、
 真空管の端子接続が一致しているものだけ測定可能。エミッション電流は合計値となる。

■エミッションレベルをメータで確認する。
真空管の種類により良否判定レベルが異なるので、メーカのチャートが必要となる。
馬場さんのご厚意によりチャートの提供をいただきましたので、 代表的な球のデータを紹介します。
また、津田さんより、類似の真空管試験器としてKT-301のチャートを頂きましたので、
両者の同じ球の比較をしてみました。ほぼ同じデータなのですが、色の範囲が広いせいもあって
少し基準が違うところもあります。
(代表的なデータ例)
UY-56を測定中(メータは“R”を指示)

注)馬場さんのHPへは、 http://homepage2.nifty.com/FNA (現在はリンク切れ。)

☆追記:メータのガラスが外れているので、後日、修理を兼ねて分解清掃しました。



☆秋田の高橋さんより、シリーズ製品であるSEM-14Cの写真を送っていただきました。
MT管、OCTAL管が増えていますので、測定できる真空管が増えています。 程度も良好ですが、
残念ながらメータが壊れているそうです。



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