ソニー TR-812

私が生まれたときに発売されたラジオです。3バンドですが、珍しく2MHzから受信できます。
ファインチューニングが付いているので、短波でのチューニングも楽です。
幸いにも無線と実験501回路集に回路図と性能が掲載されていました。
なんと言っても音質が素晴らしいです。AMですが音楽を聴いていると、ちょっと
言い過ぎかもしれませんがFMと間違う程です。IF帯域と大型スピーカが効いている
のかもしれませんが、NFもしっかりと掛かっています。初段のIFTはC結合による
複同調になっているので、帯域特性が良好なのでしょう。
フェライトバーアンテナもBCとSWの大型2本でロッドアンテナ無しでもローカルは
問題ありません。

バンドスイッチにガリはあったものの、全バンド受信できました。

修復点:ボリュームツマミ交換、バーアンテナ固定部交換、ダイアル糸張り直し、
バンド切替スイッチのガリ解消、清掃・調整

昭和35年発売
入手時トランジスタ:2SA122(Conv)/2SA122(OSC)/2SC75(IF)/2SC76(IF)/
2x2SD65(AF)/2x2SB52(Pow)
初期トランジスタ:2T20(Conv)/2T20(OSC)/2x2T76(IF)/2x2T6(AF)/2x2T3(Pow)

(2008年2月入手)



入手時の写真です。音量ツマミがオリジナルでなく、正しく取り付けられていませんでした。
後日(といっても1年後ですが)入手したジャンク品から移植しました。




裏側の銘板です。単一乾電池4本なので、総重量は結構あります。




裏蓋を外したところ。2連エアバリコンと大型バーアンテナで、十分なスペースを確保しています。
BC用のバーアンテナは後ろに隠れています。
入出力トランスも大きなものを使用しています。メイン基板左下の2個のコイルが複同調IFTです。




裏蓋です。ロッドアンテナが付いています。下部中央の金具が勘合することで回路に接続されます。
スポンジがボロボロなのは仕方ありません。




フロントパネルです。10cmX15cmの楕円型スピーカが採用されています。
電池の液漏れが結構ありました。


内部を取り出したところ。強固なシャーシにしっかりと固定されています。




基板側です。



BC帯用のバーアンテナを固定する樹脂が折れているため、たこ糸で縛ってありました。
これは修理できないので、部品取り用のジャンクのものと交換しました。



入力回路と局発回路が独立したRF基板になっています。中央は各バンドのトリマコンデンサです。
黒いトランジスタが2SA122です。



RF基板の裏側に局発コイルがあります。パディングコンデンサは富士電機のスチコンです。




低周波部分です。端子板があり、側面から外部信号を入力することができます。
切替金具の接続を変えるという、極めて原始的なものです。




メインバリコンの下にあるファインチューニング用の豆コンです。
SWではこれがあるのとないのでは雲泥の差です。重要な所にはしっかりとコストを掛けています。




チューニングのダイアル機構です。メインとサブは同軸構造になっています。
ダブルギアでバックラッシュを防止しています。
糸が緩くなって時々空回りするため、張り直しをしました。




バッテリー状態と同調指示兼用のラジケータです。感度500μA。
初段IF増幅トランジスタのコレクタ電流を測定しています。



IFTとトリマを再調整して完了です。本来は局発コイルでの単一調整が必要なのですが、
コアが固定されており破損する可能性があるのであきらめました。


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