ナショナルシャシー R-14(初期並四)
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修復にあたっては、ラジオ工房(内尾氏)の掲示板にお世話になりました。
コレクター放出品とのことで、かなり部品交換されていました。
電源が入らないとのことでしたが、ヒーターが何となく点灯しています。
しかし音は出ないので一応ジャンク。この何となく点灯するが、実は大変なくせ者でした。
先ずはCR類を取り外しフィラメント電圧をチェックしました。一応、正常な電圧が出ています。
B電圧も妥当な値なので、トランスはOKとしました。ところが、何となくフィラメントの
明るさが変化します。テスターで電圧を測ると、電圧がふらふらしています。
変だと思ってトランスを触ると正常になったりします。これはトランス内部配線の不良と推測し、
思いきって分解を始めました。滅多にやるものではありません。
時間が有り余っている方のみ挑戦してください。内部配線が焼損し、炭化によってどうにか
接触をしていたようです。
次は同調ポリバリコンの修復です。本来はシールドバリコンなのですが、ケースがありません。
また、絶縁物がよれよれで正常な容量変化が得られません。構造調査も兼ねて分解清掃しました。
絶縁物は検討の結果、OHPフィルムがポリプロピレンで厚さも適当でした。出来映えは上々です。
再生バリコンは一見正常なのですが、ある回転角度で短絡してしまいます。分解してみて、
原因が分かりました。写真を参照ください。
電源スイッチも修復後に再取り付けするとネジが空回りします。シャフトのストッパーが
バカになっていました。エポキシで固定し、強く締め付けないように注意してOKとしました。
段間結合は2段ともトランスとしましたが、電力増幅段の入力はCR結合かもしれません。
シャーシの穴からは判断がつきませんでした。
修復後に、もの凄いハムに悩まされ、最後の手段として電圧増幅段のカソードパスコンを
取ってしまいました。通常であれば数μFが付きます。
戦前の箱としては信じられないほど綺麗です。色々と調査しましたが、当時のもののようです。
残念ながら、ツマミは複製(レプリカ)したものです。私も以前にある方に製作してもらった
ことがありますが、実に上手くできるものです。
R-14はシャーシ型名であり、箱は何種類か存在するようです。少ない時間を割いて修復に数ヶ月間も
掛かってしまいました。入手は2005年9月。
球構成:UY-27A, UX-26B, UX-26B, KX-12B
(2006年1月)
裏板はありますが、オリジナルかどうかは不明です。
入手時の回路(pdf)
修復後の回路(pdf)
注:回路は動作を保証するものではありません。
シャーシ銘板“R-14”。松下電器製作所
電源トランスの銘板。放マークのTYPE 902B。
入手時のシャーシ全体。ダイアル板が乱雑にカットされており、低周波トランスが無い。
入手時のシャーシ内部。CR類がほとんど交換されている。
コレクター放出品なので納得。それにしても、配線があまりにもお粗末です。
真空管ソケット以外の部品を全て取り外してシャーシを清掃。
コイルはオリジナルではなく、アンテナコイルのタップが足りない。
紙の印刷とコイルのタップが合わないと思ったら、紙が表裏逆になっていました。
電源トランスのヒューズホルダ内部が炭化し、配線が焼き切れています。困りました。
巻線が大丈夫なことを祈って分解です。ピッチが嫌らしい。
コアを取り出したところ。何と断線部はACラインからヒューズホルダに来るところのみでした。
ここまで分解する必要はなかった!!
大量のシリコンパテで内部を充填。相当の量が必要です。
ヒューズホルダはジャンク品のカバーを外したものに交換。雰囲気はぴったりでした。
再生用のシールドバリコン、80pF。ある角度で短絡するのでカバーを外してみました。
開けて納得。端子が内部に落ち込みすぎて、羽根に接触!
同調用のポリバリコン。シールドカバーが無く、絶縁シートもよれよれ。
分解したところ。シートは真っ黒で使用不可。
OHPシートを丸く切って絶縁シートを作成。これは上手くいった。我ながら感心。容量は330pF。
電源スイッチ。ネジ部の軸が空回りして、パネルに取り付けられないのでエポキシで固定。
TREREMINの26B、ラジオ鑑定団の宮川氏より極東真空管製作所であることを享受。
マグネチックスピーカー。結構綺麗ですが、何故か音がビビリます。
スピーカのコイル部分。相当いじられた後があります。
アーマチュアが偏っているので半田付を再調整。
修復後のシャーシ内部。電源チョークを内部に置きました。アンテナ入力のAMとASは短絡。
電源スイッチとポリバリコン部分。
ハムに悩まされましたが、一応完了。長期戦でしたが、勉強になりました。
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