日立 MW/SW/FM 5バンドBCLラジオ KH-2200
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BCLブームの中、日立が発売したサージラムシリーズの5バンドラジオです。
以前に骨董市で入手したものですが、動作不明ということで、長期間放置していました。
時間ができたので、引っ張り出して修理してみることにしました。
電源スイッチの接触不良はありますが、電源は入り雑音がします。ランプも点灯します。
どのバンドも、チューニングはできますがノイズしか出ません。
どうも、ダイヤルは回転しているものの、選局ができていないようです。
写真には写っていませんが、キャリングベルトの他に専用カバーも付いています。
このラジオは、販売は日立ですが、設計・製造はエイマー電器のOEM製品です。
エイマー電器では、TR-105という型式だったようです。
よって、他のサージラムとは設計思想が異なっているかもしれません。
発売日:1976年(昭和51年)
入手日:不明
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裏側です。専用カバーに入っていたので綺麗です。
電池ケース蓋のスポンジは、さすがにボロボロですが、電池端子の腐蝕はありません。
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リアパネルを外すと、メイン基板全体が見えます。高周波回路部分です。
中央下にあるのは、60分タイマーです。特に異常はないようです。
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こちらは低周波回路部分です。
右側は、入出力端子基板です。
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シャーシ―の表面です。フィンチューニングツマミ周辺は、アルミコーティングした厚紙で
シールドしています。
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フロントケースの裏側は、こんな感じです。
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メーターはスポンジで貼り付けていますが、ボロボロなので、張替が必要です。
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電源スイッチが接触不良なので、取り外して分解してみると、写真のように真っ黒でした。
無水エタノールで、接点を綺麗に洗浄します。
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ダイヤルを回してもチューニングできないのは、ご覧のように糸が外れているからでした。
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糸が外れた原因は、ここにあったプーリーの軸が折れているためでした。
糸針をすると分かりますが、このプーリーにはかなりのテンションがかかります。
このような細い軸の樹脂では、強度設計に問題があるように思います。
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幸いにも、取れたプーリーはケース内に転がっていました。
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シャーシに穴を開け、M3の小ねじにプーリーを通してエポキシで固定します。
丁度、ナットで締められない、嫌らしい場所です。これで糸掛けが正常にできました。
真ん中のツマミは、ファインチューニング用で、トリマコンデンサになっています。
調整のときに、これをセンターにしておかないと、正しく調整できません。
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感度(DX/LOCAL)切替スイッチが接触不良でした。
接点の外側まで酸化で黒くなっています。このスイッチは電源用なので、信号ラインに
使用するのは適切とは言えません。
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分解したところです。左の板の穴に丸い端子が入っていて、2つの接点を接触させる仕組みです。
接点を洗浄して再組み立てして、正常になりました。
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マニュアルに従って、IFT、各バンドの目盛合わせ、トラッキング調整を行います。
写真は455kHzのIFT特性です。セラミックフィルタは使っておらず、LC同調のみです。
また、シングルスーパーのため、SW3の調整時は、イメージ信号が強く出ます。間違って、
イメージに合わせないように注意が必要です。
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ケース、ツマミ類を清掃し、最終組立が完了しました。
なかなか感度のよいラジオです。
念のため、タイマー精度を確認しましたが、設定時間に対して3分程度短いようです。
2024年5月3日
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