ソニー FM/AMレシーバー ICF-2001



電源が入ったり入らなかったりして、音量調整のできないジャンク品をヤフオクで入手し、いつか修理しようと保管していました。
PLLのデジタル表示ラジオを準備するために、10年ぶりに引っ張り出しました。
情報どおり、メイン電源が入っていても周波数表示がなく、ラジオも聞こえないことがあります。

2013年6月入手



裏側です。特に破損個所はなく、綺麗な状態です。
左側の電池ボックスは、マイコン用のDC3V電源。中央右寄りの電池ボックスがメイン用4.5Vです。
注意点は、白丸の2か所が、メイン基板のロック爪になっていて、リアケースの外側からアクセスるようになっていることです。
これは、気づきにくいです。


フロントカバーを開けたところです。ネジだけでなく、手前のテープがあるため、開けるのも簡単ではありません。


フロントパネルを取り外すのも一苦労でしたが、DCジャックがどうも変です。よく見ると、外側のプラス端子が折れて、
センターのマイナス端子と接触しています。このまま乾電池を入れると、電池がショートしてしまうところでした。



DCジャックを取り外したところです。この足ピン配列だと、前方のピン位置が問題で部品が入手できません。


ジャンク品から取り外すしかないのですが、あいにくジャンクがありません。
ラジオ工房掲示板で相談したところ、偶然にも部品を持っている方がいました。
写真左が一般的に市販されているジャック、中央が故障したジャック、右が頂いたジャックです。


リアカバーを外して、一旦、外部電源に接続します。
マイコン電源(取説ではコンピュータ電源)は、あり合わせの電池ボックスを繋いでおきます。


この状態で、電源が入らなくなるという不具合は発生しなくなりました。どうも、マイコン電源の電源端子が接触不良だったようです。
マイコン電源が入らないと、メイン電源のON/OFF制御も正常に動作しません。この時代のソニーラジオは、電池ボックスから
基板に接続する方法として、針金を基板の半田面に押し当てる方法を採用しています。
配線が不要なので便利ですが、接触不良のリスクがあります。再発しないように、接触部分は半田を盛っておきます。


ボリュームですが、裸状態のスライドボリュームが使われています。ALPS製ですが、このタイプは初めて見ました。


ガリ修理は、摺動部を無水アルコールでふき取った後に、少量の接点復活剤を付けます。
ただし、音量ボリュームだけはゼロにしても完全にはゼロにならずに、数十Ωと不安定です。
音量が絞り切れないというのは使いにくいのですが、同じボリュームは調達できません。
そこで、正常な低音用のボリュームと交換しました。低音用は多少残留抵抗があっても問題ないです。


不具合箇所は修理できたので、この状態で調整に入ります。マニュアルに従い、
@FM用PLL、AAM用PLL、BFM用IF、トラッキング、CAM用IF、トラッキング と調整していきます。

PLLの調整には、100MHzまで測定できる周波数カウンターが必要です。
写真でも分かるように、基板間の配線下にコアがあったりして、工夫して調整しないといけません。
また、周波数カウンターの感度も要注意です。発振レベルは、それほど大きくはないです。
回路を見て、測定点を変更した方がよい箇所もあります。




調整が完了し、TBSを受信しているところです。
AUTO SCANやPRESETもできるので便利です。ただ、大きいので、ポータブルではありますが、
据え置きで使用するのが良さそうな感じがします。

2023年1月3日
Copyright(c) 2006 Hiroyuki Kurashima All Rights Reserved

←メニューへ