EA-175 | AT-175J |
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ナショナルの初期の2バンドトランジスタラジオにEA-175があります。昭和33年(1958年)5月発売ですが、同年9月にはAT-175Jが発表されています。両者が入手できたので、その違いについて調査してみました。資料としては、「真空管ラジオのデータベース」がとても参考になりました。 EA-175は昭和33年5月に、世界で初めての2バンド・トランジスタポータブルラジオとして発売されました(松下電器の技術50年史より)。単に中波と短波が受信できるものであれば、ソニーが昭和32年8月にTR-62を発売しており、これが世界初となります。但し、TR-62の短波は2.5MHz〜4.5MHzしか受信できなかったため、松下は本格的な短波帯が受信できる2バンド・トランジスタポータブルラジオとしてはEA-175が世界初であるとしたのかもしれません。(注:サイズは大きいですが、ソニーの本格的な2バンド・トランジスタラジオTR-741は昭和33年1月に発売されています。これはハンディタイプという位置づけになります。) 先ず、フロントパネルですが、大きな違いはMWとSWの目盛りの配置が上下逆になっています。その理由は不明です。その他、スピーカーグリルやエンブレムも異なります。個人的には、全体のデザインとして、AT-175Jの方がスマートさが出ているような感じがします。ケース自体は同一です。 |
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裏蓋を外した内部写真です。 1.トランジスタの違い 【EA-175】 MIX:OC44, OSC:OC44, IF:OC45×2, AF:OC71, AMP:OC72×2 【AT-175J】MIX:MC101, OSC:MC101, IF:OC45×2, AF:OC71, AMP:OC72×2 AT-175Jは高周波特性の改善として、周波数変換回路にドリフトトランジスタMC101(若草色)を採用しています。但し、下の銘板にも表記されているようにOC44/MC101となっており、OC44のAT-175Jも存在します。段階的に変更されたようです。 2.アンテナコイルの違い 【EA-175】 MW: バーアンテナコイル、SW: ハニカムコイル 【AT-175J】MW/SW: バーアンテナコイル AT-175Jはフェライトコア―の周波数特性を改良して短波帯でも使用可能としています。両者のプリント基板は共通のため、AT-175JはSW用コイルの場所が未実装になっています。 (下の2組の拡大写真を参照) |
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銘板の写真です。EA-175からAT-175Jへの移行の過渡期には、外観と回路が必ずしも上記内容とはなっていないものも存在するようです。短期間に改良版を発売したためだと思われます。 |
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