テレビアン7S-604(山中電機)


山中電機の高周波増幅付7球スパーへテロダインです。
横52cm×縦34cm、約10kgと大型です。
6.5吋フィールドコイル型ダイナミックスピーカで、実に堂々とした音量で鳴ります。
球構成は標準的な6D6-6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80-6E5で、電源トランスが中央に配置
されているので持ち上げたときに安定感があります。

1953年〜54年頃の製品と思われます。過去に修理されており、ブロックケミコンが
1952年8月製造のナショナル製に、1st IFTがTRIOのT-6Aに交換されていましたが、
2台目を入手し、オリジナルに戻しました。オリジナルのブロックケミコンは、
ELNA製にTEREVIANの赤いラベルを巻き付けたものです。

出力トランスの1次側が断線していましたので、簡易的な巻線機を自作し、
思いきって巻き直すことにしました。この巻線機はなかなか便利ですが、手間はかかります。
筐体の内側上部に細長いブリキ板が貼り付けてあり、室内アンテナの役割をしています。
ローカル局であればこれで十分な音量が得られます。流石に高一中一です。
ツマミが1個欠品、1個は何と接着されていましたので取り外すのに一苦労でした。
内田氏にレプリカを製作してもらいましたが、実に器用に作られるものだと感心しました!
中波専用機としては豪華なラジオです。
(2004年7月入手)

裏板もしっかりしています。


回路図
注:回路は拡大して見てください。
また、動作を保証するものではありません。


入手時の正面、ツマミが欠品です。


入手時の背面。右下はヒューズホルダ。


1st IFTはTRIO製T-6Aに交換されています。


1個だけツマミの止めネジが回らず外せません。最後の手段で、ツマミを壊しました。
何と接着剤です!


これでは外れないわけです。シャフト全体が接着剤で埋められています。
ツマミが2個欠品となりました。修復泣かせです。


ようやくシャーシを引っぱり出しました。かなりの埃と錆です。
電源トランスが中央なので重量バランスが良いです。


VCのゴムが劣化し、斜めに向いています。ケミコンは松下製(1952-08,10μF×2)
に交換されています。


シャーシ内部。内側の塗装はかなり良好です。
ACラインは白色で配線されています。ペーパーコンは全滅のようです。


VRは不良、ケミコンの容量不足で日ケミのチューブラが追加されています。


高周波部分。パディングは固定のチタコン。


銘板。マジックアイを入れて7球です。


修復のためソケット以外の部品を取り外しました。
錆を落とすと、それなりに綺麗になります。簡単な錆止めを実施。


バリコンのゴム足は水道のパッキンを使いましたが、ゴムブッシュが最適です。

VC取り付け部

VC取り付け部の裏面


予想通り、出力トランスの1次側は断線していました。秋葉で調達できるのですが、
SPフレームの取付穴が合いません。巻き直しに挑戦してみることにしました。
(写真は巻き直し後)


スピーカに取り付けたところ。今回は、色んなHPを参考にして巻線機を自作してみました。
勿論、ガラ捲きです。下の方に巻線機の写真を載せてありますので参考にしてください。


フィールドダイナミック型、Model D-7, 1500Ω。フィールドコイルは正常なので安心しました。


修復後のシャーシ内部。抵抗は一部を除き使えました。ケミコン、ペーパーコンは全数交換。


電源ケミコン周りが込み入っています。


修復後のシャーシ正面。ケミコンは飾りです。


天板に貼り付けられたアンテナ。


スピーカグリルは綺麗な2台目から拝借。


パネルが無いとこんな感じです。


ツマミは内田氏に複製品を製作してもらいました。職人技です!(左が複製品)

手作り巻線機

見よう見まねで巻線機を自作。出力トランスの巻き直しには
1次側にφ0.12のUEWを使いました。φ0.1が理想ですが、切れやすいです。


ボビンからはみ出さないように厚紙で枠を付けます。
7kΩ:3.5Ωなので、1次側3,130回をガラ巻、2次側はφ0.6UEWを70回整層巻きしました。
1−2次間とコア間の絶縁は確実に行います。


使わなくなったルームステッパーからマグネット式カウンターを拝借しました。
確実にカウントするように、マグネットの位置を調整します。

部品取り用に入手した2台目

残念ながらツマミは交換されていました。

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