シャープHiFiラジオ 6D-88

大型のAM用HiFiラジオです。出力管は6V6-GTで、8インチ(20cm)スピーカーを鳴らします。
10年以上前にオークションで落札したもので、電源は入るが受信できないという説明でした。
マジックアイも外されています。汚れは、ある程度綺麗になるでしょう。

サイズは、幅55cmX高さ31cmX奥行22cm

真空管構成:6BE6/ナショナル, 6BD6/マツダ, 6AV6/東芝, 6V6-GT/Sun, 5Y3-GT/東芝
途中で修理交換したものと思われます。

製造日:1956年(昭和31年)9月
入手日:2013年3月


裏側です。リアパネルも無事です。


リアパネルを開けたところです。回路図が天板に貼り付けられていました。
スライドスイッチは、右側のソケットにイヤフォンを接続したときの切替用です。
回路図によると、専用のイヤフォンプラグがあったようです。リモートスイッチではありません。


シャーシを取り出したところです。かなり埃が堆積しています。
何といっても大きな特徴は、ダイアルツマミ用の大きなフライフォイールです。
レシーバーには普通に付いていますが、真空管ラジオでは初めて見ました。
どうりで回したときの感触がよいはずです。


真上から見たところです。なぜか、ヒューズが中央の位置になっていません。
通常、110V/100V/90Vの切替なので、110Vに接続していることになります。
この原因は後で分かりました。


シャーシの後ろは、こんな感じです。




シャーシ内部です。
左の5μFのチューブラコンが後付けされているということは、ブロックケミコンが劣化している証拠です。


スピーカーを取り外すと、日付が捺印されていました。
昭和31年9月25日製造のようです。


先ずは、ヒューズ端子を裏返してトランスの修理からです。
左から110V/100V/90Vですが、真ん中の100V端子の半田が見事に外れています。
仕方がないので、110Vに変えたのでしょう。端子を磨いて再半田しておきます。


ブロックケミコンは、耐圧400V、20μF/20μF/10μF/3μFです。
容量、損失、耐圧、漏れ電流を確認したところ、3μFのみ使えることが分かりましたので、
20μF/20μF/10μFの3個は、ラグ端子に取り付けることにしました。


清掃のためバリコンユニットを取り外しました。ゴムブッシュが完全に溶けています。


最近は、バリコンに使えるゴムブッシュが見つかりません。ここでは、大小2種類のゴムブッシュを
組み合わせました。中のスペーサーは、元々付いていたものをはめ込んでます。


ボリュームは500kΩAですが、分解清掃してもガリが解消できませんでした。
軸を切り取り、交換用のボリュームに取り付けます。


今回の修理で一番時間のかかったものが、スイッチ類の汚れ(酸化)除去です。
これは、電源スイッチ兼用のTONE(音質)切替えスイッチです。


分解すると、こんな感じ。銀メッキの端子が真っ黒ですね。


無水アルコールや接点クリーナーで丁寧に清掃します。
理想的には、アルコール漬けにして丸洗いすればよいものと思います。


SELECTORスイッチもこんな感じです。取り外して、分解清掃するしかないです。
このスイッチは、感度とIF帯域の切替え、及びPHONO入力切替え用です。


真空管のgm、エミッションを確認すると、6V6がNGでした。きっと、酷使したのでしょう。


今回交換した部品です。ペーパーコンは全数交換です。
パイロットランプも2個断線していました。


修理後のシャーシ内部です。



バリコンを取付、糸も張り直します。かなり綺麗になりました。電源を入れると一応受信します。
受信できなかったのは、ペーパーコンの劣化とスイッチの接触不良だったと思われます。
出力トランス(5kΩ:2.9Ω)も断線はしていませんでした。


指針は、ネジで着脱ができるようになっています。これは非常に助かります。
グリス劣化で移動が硬くなっているので、清掃してグリスを塗っておきます。


IFTの調整ですが、これはDXモードでのIF特性です。マーカーは455kHz±10kHzです。


次はHiFiモードでのIF特性です。わりと綺麗な特性になっているので、音質はよさそうです。


フロントパネルの原寸大コピーを貼り付けて、目盛合わせとトラッキング調整を行います。
選局の途中でバリバリとノイズが出ましたが、バリコンの羽の接触によるものでした。
羽の位置を整えて、再調整します。


トラッキング調整で、バリコン側のトリマコンの容量が不足していたので、4pFを追加しました。


とりあえず、中古のマジックアイを取り付けて修復完了です。
NHK第1をHiFiモードで受信しているところです。やはり、音が良いです。
大みそかに完了したので、この状態で、紅白歌合戦を聞いていました。

2024年1月7日
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