シャープ 5球スーパー 5R-75

デザインが気に入って、動作未確認品をオークションで入手したまま保管していたものです。
ダイアルツマミの指針がありません。オリジナル形状を確認する必要があります。
真空管構成:6WC5/ナショナル, 6D6/マツダ, 6ZDH3A/TEN, 6ZP1/マツダ, KX-12F/マツダ

マツダ以外は途中で修理交換したものと思われます。
発売:1950年(昭和25年)
入手日:2020年1月


裏側です。ネットは虫食いですが、きちんと残っています。アンテナは直出しのリード線です。


銘板も綺麗にの残っています。残念ながら製造年月が消えていますが、資料によると昭和25年発売のようです。


リアパネルを外したところ。標準的な回路構成で、PHONO入力がない機種が5R-70のようです。


底面には回路図の一部が残っています。丸穴も紙でカバーされていたようです。


回路図の拡大部分。一部は見えませんが、予想はできます。


シャーシを取り出したところです。シャーシの裏面右側にひらがなで「か」と印刷されています。
これは、真空管の底面にも捺印されているので、工場のマークか製造者かもしれません。


シャーシ前面は、こんな感じです。バリコンは330pFX2、IFT2は単同調なので高さが半分ですね。


シャーシ内部です。埃はそこそこ溜まっています。ペーパーコンは全交換ですが、抵抗は使える範囲です。


ブロックケミコンも当然NGと思ったのですが、特性や漏れ電流、耐電圧を確認すると、まだ正常に使えます。
この時代のラジオで実用に耐える状態になっているのは初めてです。もったいないので、このままとしました。


ボリュームは抵抗値が無限大、更にPU切り替えに使われている単極双投(3接点)が接触不良です。
分解清掃で復活できると思ったのですが、ダメでした。


手持ち部品で1個だけあったのですが、抵抗値が1MΩです。
確か、大昔に秋葉原で特別に入手したものですが、ラベリングが間違っているのか、特性が劣化したのかは、
今となっては不明です。500kΩが入手できないため1MΩでOKとします。


アンテナコイルは、バリコンの下にあります。
1次側がハイインピーダンスタイプなので、アンテナ線は短くて済んでいるものと思います。
(逆に、長いアンテナを接続すると過大入力により歪みます。)



バリコンとパイロットランプのブッシュを交換し清掃すると、大分綺麗になりました。


IFTの内部です。
初段は複同調で、コンデンサは100pF、2段目は単同調で200pFになっています。グリッド線はボロボロなので交換します。


スピーカーは6.5インチのダイナミックですが、OPTの配線がプラグ・ジャックになっていて着脱できます。
これは非常に助かります。線材のみ交換しておきました。


修復後のシャーシ内部です。



ダイアル部です。
パイロットランプでダイアル部全体を照明するのですが、パネルには上にもパイロットランプ用と思われる穴があります。
実は底面の回路図をよく見ると、パイロットランプが2個になっているのです。ただし、実際には1個しかありません。
1個で丁度よい明るさなので2個は止めたのか、コストダウンしたのかは不明ですが、回路図は修正しなかったということですね。


チューニングツマミですが、指針部が欠けています。



当時の広告を見て、三角形の板が付いていたことが分かりました。
手元に赤いプラ板がありましたので、ツマミの溝に併せてカットします。たぶん、こんな感じで付いていたのでしょう。


交換した部品一式

写っていませんが、エミ減の6ZP1、出力電流不足のKX-12Fも交換しています。
KX-12Fはエミッション試験器ではOKなのですが、RC後の+B電圧が150Vしか出ません。交換して+170Vまで改善できました。


IFT、目盛合わせ、トラッキング調整完了後の最終状態です。



なかなかよい雰囲気ですね。

2023年2月12日
Copyright(c) 2006 Hiroyuki Kurashima All Rights Reserved

←メニューへ