東芝ピアノラジオ 5BA-50

選局がピアノの鍵盤のようになっているので、ピアノラジオという名前になっています。
白黒のコントラストが、ピアノを連想させなくもありません。
内部構造に興味があり、オークションで入手して保管していたものを修理しました。
電源プラグが外されているため動作未確認のものです。

真空管構成:12BE6/ナショナル, 12BA6/ナショナル, 12AV6/マツダ, 35C5/マツダ, 25MK15/マツダ
マツダ以外は途中で修理交換したものと思われます。

発売:1956年(昭和31年)頃
入手日:2016年10月


裏側です。左にフォーンジャックが取り付けられていますが、プレーヤー等を接続するために後付けされたようです。
リアパネルの右側のネジが欠落しています。


リアパネルを開けたところです。左側の赤丸で囲った金具は、ドライバーの取付金具です。
このドライバーは、選局ボタンに放送局を登録するときのマイナスドライバーです。


シャーシを取り出したところです。かなり埃が堆積しています。バーアンテナは、結構長さがあります。
ダイアルを手で回しても選局できますが、右のボタンにプリセットすれば、ワンボタンで希望する放送局を
選局することができます。


真上から見たところです。
ボタンには、NHK第1、NHK第2、ラジオ東京、文化放送(外れている)、のラベルがあります。
5個目はカバーが欠落していました。おそらく、ニッポン放送かと思われます。


清掃のためバリコンユニットを取り外しました。バックラッシュがないように、ダブルギアになっています。
矢印のカムをどこまで押すかで、バリコンの回転角度が決まります。


バリコンを底面から見たたところです。
希望の局に手でバリコンの位置を合わせた後、一旦ネジを緩めた状態で押し込み、その位置でネジを締めれば、
設定が完了します。
以降は、選局ボタンを押すと金具が押し込まれて、矢印のカムが所定位置まで押されます。うまく考えられています。


トランスレスで、マイナス電位はコンデンサでシャーシから浮いているため、
バリコンもシャーシから絶縁する必要がありますが、絶縁シートは劣化して短絡状態でした。ゴムシートを2枚重ねで対応します。


12AV6の接触が非常に不安定だと思ったら、ソケットがご覧の状態です。何かで削ったのでしょうね。


交換しようと、左側の手持ちベーク製ソケットを確認すると取付穴の幅が合いません!
取付穴寸法が2種類あるとは思いませんでした。仕方がないので、ネットで探すと、鈴商さんにありました。

なお、鈴商さんは店舗は閉鎖されましたが、通販は継続しています。


ボリュームはガリがありましたが、分解清掃で復活しました。
スイッチは単極双投(3接点)ですが、使っているのは2接点のみです。


スピーカーは、防振も兼ねて、加工したゴム足でねじ止めしています。
ゴムが劣化して硬くなっているため、新しいゴム足に交換する必要があります。

奥にあるブロックケミコンは、チェックした結果、容量は20%程低下していましたが、
漏れ電流、耐圧とも問題なかったので、そのまま使うことにしました。


修復後のシャーシ内部です。


今回交換した部品です。12AV6はエミ減のため交換しました。
ネオンランプも故障しているのですが、さすがにこのタイプは入手できません。


ネオンランプはケースだけ残して、先端だけ交換しました。
見た目は悪いですが、ケースに組み込めば関係ありませんので、これで良しとします。


IFTとトラッキング調整が完了したので、組み込みました。

押しボタンのプリセットは、左の写真のように、ケースの一部を取り外すと、ネジが見えるので、
リアパネルの内側に止めているドライバーを使って行うという仕掛けです。


修復後です。

普通の5球スーパーなので、電源投入時から暫く時間が経過すると、微妙に同調がずれます。
よって、あまりIFTの帯域を狭くしない方がよいのかもしれません。


フォーンジャックは取り外して、オリジナルに戻しました。

2023年4月16日
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